日銀は、2015年5月27日、経営の健全性を示す自己資本比率が2015年3月末時点で0.46ポイント上昇し8.2%となったと発表した。日銀の2014年度の利益は1兆90億円。うち25%にあたる2522億円を資本に組み入れた。日銀が健全性の目安とする8~12%の範囲に収まった。

日銀は金融緩和縮小の局面で資本が痛む可能性が指摘されている。日銀は2013年4月に量的・質的金融緩和を導入して以降、大量の国債を購入。国債保有は125兆円から269兆円に、総資産は164兆円から323兆円に拡大した。長期金利が1%上昇すれば10兆円規模の評価損が生まれる見通し。

なお、国債は償還まで持ち続ければ実際には損は発生しない。しかしながら、日銀が大量に国債を抱えながら短期金利を引き上げるには、金融機関が日銀に預けている当座預金の金利を現行の0.1%から引き上げる必要があると見られている。その局面で、日銀は多額の利払い負担を強いられる。

日銀は、あらかじめ資本を積み増し、金融緩和縮小局面で予想される財務リスクに備える。


日銀 法定準備金積立推移

  2013年度 2014年度
法定準備金積立 20% 25%
自己資本比率 7.74% 8.2%