サントリー食品インターナショナルは、2013年9月9日、英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)が持つ飲料ブランドである栄養ドリンクの「ルコゼート」と子供向け飲料「ライビーナ」を買収すると発表した。買収額は2106億円。 グラクソは2013年4月の第1四半期決算発表において「ルコゼート」と「ライビーナ」の見直しを行い売却する方針を示していた。グラクソは「中核の欧米市場外において、既存のカテゴリの存在感やインフラを持つ企業で、より良い活用ができる可能性がある」としていた。両ブランドの売上高は797億円、売上総利益は379億円、資産は273億円、負債は0億円となっている。 サントリー食品は7月に株式を上場し3900億円を調達した。調達資金のうち2000億円を海外のM&Aに充てる方針。2020年には海外売上高比率を現在の30%から50%に引き上げる計画。海外での経営戦略では既存のコアブランド「オランジーナ」や「V」を強化すると共に、新興市場であるベトナムでの事業開始やインドネシアでの事業拡大、中東・アフリカ・ラテンアメリカ市場での事業開発を模索している。今回の買収では「オランジーナ」との相乗効果を見込んでいる。 {「ルコゼート」「ライビーナ」の買収額と業績・資産概要}
買収額 「ルコゼート」「ライビーナ」事業
売上高 売上総利益 資産 負債
2106億円 797億円 379億円 273億円 0億円
{サントリー食品 主要業績指数推移}
売上高 経常利益 純利益 純資産 総資産 自己資本比率
2012年 9921億円  540億円  233億円  2042億円  8444億円  22.5% 
2011年 8933億円  555億円  294億円  1818億円  8028億円  20.6% 
{事業別業績推移}
2012年度 2011年度
売上高 利益 売上高 利益
 国内 6887億円  356億円  6685億円  395億円 
 国際(計) 3045億円  425億円  2249億円  393億円 
 欧州 1248億円  244億円  1310億円  269億円 
 オセアニア 333億円  50億円  317億円  50億円 
 アジア 788億円  62億円  621億円  16億円 
 米州 675億円  67億円  -  - 
{経営目標}
経営目標  項目
 2020年  売上高2兆円
 売上高  平均年率5%以上の成長
 EBITDA  平均年率1桁台後半以上の成長
2020年に売上高2兆円を経営目標に掲げる。1兆5000億円から1兆6000億円までは既存事業で伸ばし、残りは戦略投資を積み上げる計画。調達した資金3900億円のうち2000億円を海外でのM&Aに充て、2020年には海外売上高比率を現在の30%から50%に引き上げる。また、飲料業界首位を目指すため国内での買収にも意欲を示している。 【国内】 重点ブランド強化として「BOSS」「伊右衛門」「ペプシ」など主力ブランド力を強化。自動販売機ビジネス強化として、設置場所の開拓活動を推進すると共に省エネ自動販売機など新機材への投資、商品補填活動の無駄を省くための自動販売機無線オンライン化などに取り組む。 【国際】 「Orannhina」「V」などのコアブランド強化と共に、新興市場であるベトナムでの事業開始やインドネシアでの事業拡大、中東・アフリカ・ラテンアメリカ市場での事業開発を模索する。 【シェア】 英調査会社ユーロモニターによると、サントリー食品の2012年世界シェアは2.6%で4位。米コカ・コーラの26%、ペプシコの11%とは大きな差があるも、ネスレの2.8%には近接している。