環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加する12ヶ国は、2015年10月5日、大筋合意に達した。12ヶ国は2016年初めにも協定に署名。各国の批准手続きを経て、TPP協定が発効する見通し。

TPPの大筋合意により、域内の大半の関税が撤廃され、アジア太平洋地域の国内総生産の約40%を占める巨大な経済圏が生まれる。


TPPの主な合意内容

項目 内容
自動車 部品55%以上を域内で調達すれば関税ゼロに
医薬品 バイオ医薬品のデータ保護を8年に
コメ 日本に米豪から新たなコメ輸入枠(計7.84万トン)
牛肉 関税を38.5%から27.5%に引き下げ。16年目に9%に引き下げ
乳製品 ニュージーランドなどからの輸入拡大
著作権 保護期間50年→70年

【自動車】
自動車の関税撤廃条件では、部品の55%以上を域内で調達すれば、輸出の際に係る関税をゼロにする。

日本は米国産のコメを年7万トン受け入れる一方、日本製の自動車部品に係る米国の関税2.5%は全品目の87.4%が即時撤廃される。


【医薬品】
医薬品のデータ保護期間は、米国とオーストラリアが実質8年とする案で折り合い。8年のうち、3年は新薬承認のための期間とすることができる選択制を導入する。


【コメ】
米国向けに5万トン、オーストラリア向けに6000トンの輸入枠を設置。13年目以降に米国向けを7万トン、オーストラリア向けを8400トンまで広げる。

コメ関連では、せんべいやあられに使う米粉など一定の輸入実績がある品目は、関税を5~25%削減する。輸入実績の乏しい一部品目は関税をなくす。


【牛肉】
米国などからの関税を段階的に引き下げ。38.5%から1年目に27.5%、16年目には9%にする。一方、米国などは和牛やコメ、果物など日本が輸出に力を入れる農産品の関税を将来撤廃する。

また、輸入量が急増した場合に関税を引き上げるセーフガードを設けるが、16年目以降は4年間発動がなければ廃止する。


【豚肉】
ソーセージなどに使う低価格品の関税を1キログラム482円から10年目に50円に下げる。セーフガードも設けて、畜産業者に大きな打撃が及ばないようにする。高価格品は4.3%の関税を10年目にゼロにする。


【乳製品】
チェダーやゴーダなどの熟成チーズは段階的に引き下げ、16年目に撤廃する。ブルーチーズは関税29.8%を11年目までに50%削減。プロセスチーズはオーストラリアやニュージーランド、米国にそれぞれ輸入枠を設けて優遇する。

脱脂粉乳やバターは、最近の追加輸入量の範囲でニュージーランドなどに優遇枠を設ける。


【小麦・大麦】
小麦は1キログラム55円、大麦は39円の関税を維持する。代わりに国が輸入して製粉会社に転売する場合、上乗せする輸入差益を発効から9年目までに45%削減する。これにより外国産の輸入価格が下がる。

また、米国産、カナダ産、オーストラリア産の小麦に計25.3万トンの輸入枠を設ける。


【砂糖】
米国やシンガポールが求めていたチョコレート菓子やココア調整品は輸入の一定量まで関税ゼロの枠を設け、11年かけて段階的に増やす。


【ワイン】
1リットルあたり125円を7年で撤廃。


【その他】
域内の規制の透明化を進めることや国有企業への優遇策を縮小・撤廃する。著作権の保護や地域の特産品のブランド保護など、強い知的財産権を認めることや労働者の保護・環境への配慮をうたった。

ベトナムやマレーシアでは外資に対する規制を緩和。ベトナムはTPP発効から5年後に全土で外資が審査なしに500平方メートル未満のスーパーを出店できるようにする。地場の銀行や通信会社への外資出資比率も引き上げる。マレーシアは外資のコンビニエンスストアへの出資を解禁。制限していた外国銀行の店舗外のATM設置を認める。

米国、カナダ、メキシコなども日本からの輸入農産品の関税をなくしたり、引き下げたりする。米国は和牛を関税ゼロで受け入れる輸入枠を3000トンから6250トンまで拡大。日本が輸出に力を入れるコメや梨などのブランド農産品の関税も無くす。カナダは26.5%の牛肉関税を6年で撤廃。メキシコは20~25%を10年で撤廃する。

水産物では、カツオやベニザケなどは即時撤廃。アジ・サバは16年目に関税ゼロ。ベトナムはブリやサバ、サンマなどにかけている関税を即時撤廃する。

項目 内容
その他 域内規制の透明化
国有企業への優遇策を縮小・撤廃
強い知的財産権を認める
労働者の保護や環境への配慮
ベトナム 5年後に外資が審査なしで500平方メートル未満のスーパー出店可
地場銀行や通信会社への外資出資比率を引き上げ
ブリやサバ、サンマなど水産物の関税を即時撤廃
マレーシア 外資のコンビニエンスストアへの出資を解禁
外国銀行の店舗外ATMを認可
米国 和牛の関税ゼロの輸入枠を3000トンから6250トンまで拡大
コメや梨などブランド農産品の関税を撤廃
カナダ 26.5%の牛肉関税を6年で撤廃
メキシコ 20~25%の牛肉関税を6年で撤廃
水産物 カツオやベニザケなどは即関税撤廃
アジ・サバは16年目に関税ゼロ


日本への経済効果

政府は日本がTPP交渉に参加した2013年時点で、実質GDPを3.2兆円押し上げると試算した。安い農産品を輸入することでコメや肉などの国内生産額が2.9兆円減少。一方、関税撤廃で工業品の輸出が増えたり、安い海外製品が日本に入ってくることで消費が増え6.1兆円増加する。なお、試算は全品目の関税が即時撤廃されることが条件。

項目 内容
日本への経済効果 実質GDPを302兆円押し上げ