シンバイオ製薬(4582)は、2013年12月、公募増資などで約28億円を調達した。調達した資金は主に抗がん剤の新薬の研究開発費に充てる。 医療上必要性は高いものの、薬を必要とする患者数が少ない疾患分やの医薬品を「オーファンドラッグ」という。がんや血液、自己免疫疾患におけるオーファンドラッグの研究開発は欧米を中心に行われているが、高度の専門性が求められ、開発の難易度が高く、事業効率が悪いことから日本などアジア諸国では手をつけられていない空白領域となっている。シンバイオはオーファンドラッグで参入障壁の高いがん・血液・自己免疫疾患の3治療領域に特化した新薬開発に取り組んでいる。 厚生労働省からオーファンドラッグの指定を受けるには、患者数が5万人未満の重篤な疾患であること、医療上特に必要性が高いこと、開発可能性が高いことといった基準を満たす必要があり、売上高が1000億円を超える大型新薬の追求ではなく、オーファンドラッグを数多く保有することで持続性のある事業展開を行う方針。 {主要業績指数推移}
  売上高 経常利益 純利益 純資産 総資産 自己資本比率
2013年(予) 15億円 ▲17億円 ▲17億円 - - -
2012年 19億円 ▲17億円 ▲17億円 48億円 55億円 88.6%
2011年 18億円 ▲20億円 ▲21億円 66億円 72億円 91%
2010年 14億円 ▲6億円 ▲6億円 40億円 42億円 95.8%
【主要取引先】
  2012年 2011年
売上高 割合 売上高 割合
エーザイ 19億円 98.7% 18億円 99.5%
【研究開発費推移】
2012年 2011年 2010年
研究開発費 14億円 19億円 11億円
{主要製品}
製品 種類 適応症
トレアキシン 抗がん剤 再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫
リゴサチブ 抗がん剤 骨髄異形成症候群
【骨髄異形成症候群】 急性骨髄性白血病への移行が高い確率で見られる予後不良の難治性疾患。血球を作る造血幹細胞に異常が生じ、十分な量の血液をつくることができなくなった結果、血球減少を起こす。日本における患者数は約1万1000人。 {経営戦略} 継続的に新薬開発候補品を導入し、上市に向けて開発を進め、販売体制を構築するため、研究開発などに経営資源を投下する方針。日本やアジア諸国でトレアキシンの売上を計上するも、先行投資負担を賄えていないため、エーザイと協業で拡販や適応拡大を進める。また、他のパイプラインの開発・承認取得を通じて安定的に利益を確保できる体制を目指す。 {調達資金使途} 調達資金最大29億円は2015年12月までに第2の柱として抗がん剤リゴサチブの開発プログラムをさらに進めるために充てる。また欧米での開発状態を踏まえながら、骨髄異形成症候群以外の適応での開発も進める。