シャープは2013年10月に実施した公募増資と第三者割当増資で1365億円を調達した。公募増資で最大1191億円、第三者割当増資で電動工具のマキタが100億円、住宅設備のLIXILが50億円、自動車部品のデンソーが25億円の調達となる。
公募増資により調達した資金は全額設備投資に充当する。500億円を中小型液晶の高精細化のための設備投資資金に、247億円を健康・環境事業(エアコン・空気清浄機など)におけるインドネシア新工場の資金に、130億円を重点5事業領域における新規事業育成に向けた研究開発設備に充当する。また、2014年3月期末に迫る1200億円の年金積立不足の負債計上にも備える。
{主要業績指数推移}
| |
売上高 |
経常利益 |
純利益 |
純資産 |
総資産 |
自己資本比率 |
| 2013年 |
2兆7000億円 |
400億円 |
50億円 |
|
|
|
| 2012年 |
2兆4785億円 |
▲2064億円 |
▲5453億円 |
1348億円 |
2兆877億円 |
6.0% |
| 2011年 |
2兆4558億円 |
▲654億円 |
▲3760億円 |
6451億円 |
2兆6141億円 |
23.9% |
| 2010年 |
3兆219億円 |
591億円 |
194億円 |
1兆486億円 |
2兆8856億円 |
35.6% |
| 2009年 |
2兆7559億円 |
309億円 |
43億円 |
1兆658億円 |
2兆8362億円 |
36.6% |
{事業内容別業績推移}
| セグメント |
業績 |
2011年 |
2012年 |
| 年間 |
上期 |
9-12月 |
1-3月 |
下期 |
年間 |
| AV・通信 |
売上高 |
1兆610億円 |
3385億円 |
2023億円 |
1916億円 |
3940億円 |
7326億円 |
| 営業利益 |
▲61億円 |
▲211億円 |
53億円 |
60億円 |
113億円 |
▲98億円 |
| 健康・環境 |
売上高 |
2923億円 |
1549億円 |
748億円 |
798億円 |
1546億円 |
3096億円 |
| 営業利益 |
294億円 |
173億円 |
74億円 |
73億円 |
148億円 |
322億円 |
| 情報 |
売上高 |
2776億円 |
1392億円 |
697億円 |
884億円 |
1581億円 |
2974億円 |
| 営業利益 |
277億円 |
69億円 |
63億円 |
110億円 |
173億円 |
466億円 |
| 液晶 |
売上高 |
7209億円 |
3679億円 |
2582億円 |
2204億円 |
4787億円 |
8467億円 |
| 営業利益 |
▲422億円 |
▲1155億円 |
▲117億円 |
▲116億円 |
▲234億円 |
▲1389億円 |
| 太陽電池 |
売上高 |
2239億円 |
930億円 |
559億円 |
1108億円 |
1668億円 |
2599億円 |
| 営業利益 |
▲219億円 |
▲123億円 |
▲19億円 |
97億円 |
78億円 |
▲44億円 |
【AV・情報】液晶テレビ・携帯電話など
アセアンなど新興国で販売を伸ばすも、国内市場・中国市場の販売落ち込みで減収減益。
【健康・環境】エアコン・空気清浄機など
エアコン、空気清浄機などの販売が好調に推移
【情報】複合機・インフォメーションディスプレイなど
国内向けカラー複合機やインフォメーションディスプレイなどが好調に推移
【液晶】IGZOなど
スマートフォンやタブレット向けなどに中小型液晶が伸長、大型液晶も好調に推移。
【太陽電池】
欧州など海外市場の販売減少も国内の住宅用及びメガソーラー向け販売が伸長
{設備投資計画}
シャープは2013年度から2015年度にかけて約2400億円の設備投資を行う。公募増資により調達する1191億円は全額設備投資に充当される。500億円を中小型液晶の高精細化のための設備投資資金に、247億円を健康・環境事業(エアコン・空気清浄機など)におけるインドネシア新工場の資金に、130億円を重点5事業領域における新規事業育成に向けた研究開発設備資金に充当する。
| セグメント |
設備投資計画 |
金額 |
期間 |
| AV・通信 |
液晶テレビ用開発・生産設備 |
174億円 |
2013年度~2015年度 |
| 通信端末(国内向け)用開発・生産設備 |
141億円 |
| 健康・環境 |
エアコン・空気清浄機のインドネシア新工場 |
445億円 |
| 情報 |
デジタル複合機向け開発・生産設備 |
167億円 |
| 液晶 |
中小型液晶パネルの高精細化 |
860億円 |
| 太陽電池 |
太陽電池(国内向け)開発設備 |
83億円 |
| 電子デバイス |
カメラモジュール・パワーデバイス開発・生産設備 |
335億円 |
| 重点5事業領域の開拓を含む研究開発設備 |
210億円 |
{資金政策}
6月の必要資金であった3600億円のシンジケートローンの更改を契約。9月のCB(転換社債)償還に向けた資金1500億円も調達契約を結んだ。一方、2014年3月期末に会計基準の変更に伴い、企業年金積立不足の約1200億円を負債計上する見通し。
【必要資金】
|
2013年 |
2014年 |
| 6月 |
9月 |
3月 |
9月 |
| 必要資金 |
3600億円 |
2000億円 |
300億円 |
1200億円 |
1000億円 |
| 必要性 |
シンジケートローン |
CB償還 |
SB償還 |
企業年金積立不足 |
SB償還 |
【資金調達】
| 時期 |
調達先 |
調達額 |
内容 |
| 2012年12月 |
米クアルコム |
100億円 |
新型パネルを共同開発 |
| 2013年3月 |
韓国サムスン電子 |
100億円 |
サムスンへのテレビ用液晶パネル供給 |
| 2013年6月 |
みずほコーポレート銀行 |
3600億円 |
シンジケートローン更改 |
| 東京三菱UFJ銀行 |
| 2013年6月 |
みずほコーポレート銀行 |
1500億円 |
転換社債償還資金で新規シンジケートローン |
| 東京三菱UFJ銀行 |
| 2013年10月 |
公募増資・第三者割当増資 |
1365億円 |
設備投資・年金積立不足への備え |