シェールガス関連情報

シェールガスとは、頁岩(けつがん)と呼ばれる固い岩盤のごく小さな隙間に閉じ込められている天然ガスや石油のこと。米国では地下2000~3000メートルの部分から採掘される。ここから長い年月をかけて漏れたガスや石油がもっと浅いところにたまって出来たものが従来のガス田や油田で、シェールはその源になるもの。シェール層の開発によって、地中から取り出せるガスや石油の量が格段に増え、将来のエネルギー不足の懸念が急速に後退している。

シェールガスの世界推定埋蔵量

米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)は、2013年6月10日、世界のシェールガス可採埋蔵量(石油・ガス資源の推定量)が7299兆立方フィートと2011年時点の6622兆立方フィートから増加したと発表した。シェールガスの推定埋蔵量が世界最大なのは米国で1161兆立方フィート、中国は1115兆立方フィート、アルゼンチンは802兆立方フィートと続く。

推定埋蔵量
米国1161兆立方フィート
中国1115兆立方フィート
アルゼンチン802兆立方フィート
アルジェリア707兆立方フィート

日本が参画する米国の主なシェールガス関連プロジェクト

米エネルギー省は、2013年5月17日、シェールガスの増産で価格が下落している天然ガスの対日輸出を解禁すると発表。米国は自由貿易協定(FTA)を結んでいない国への天然ガスの輸出を制限してきたが、中部電力、大阪ガスが参画しているフリーポート社の輸出事業を認可。2013年9月11日には住友商事、東京ガス、関西電力が参画しているコーブポイントの輸出を認可。2014年2月11日には三菱商事、三井物産が参画しているキャメロンの輸出を認可した。日本勢3ヶ所4事業全てが承認され、2017年から輸入が始まる見通し。国内ガス消費の30%をシェールガスに転換できる公算。

場所マーセラス

(ペンシルベニア州)

コーブポイント

(メリーランド州)

キャメロン

(ルイジアナ州)

フリーポート

(テキサス州)

バーネット

(テキサス州)

企業住友商事住友商事

東京ガス

三菱商事

三井物産

大阪ガス

中部電力

東芝

住友商事

東京ガス

参加形態権益取得液化委託液化委託液化委託権益取得

カナダ産シェールガスプロジェクト

安倍晋三首相は、2013年9月24日、カナダのハーパー首相と会談し、カナダ産シェールガスの対日輸出に向けた協力を確認し、2018年末にシェールガスの対日輸出を解禁する。日本の年間輸入量の約10%にあたる800万トンから900万トンの調達を見込む。

LNG価格は、米国産が100万BTUあたり約10ドルで推移しているが、カナダ産はパナマ運河を経由する米国産より輸送日数が10日ほど短くなるため、輸送費が100万BTUあたり1ドルから2ドル安くなるとみられている。そのため、日本がカタールなどから輸入している現在のLNG価格である約17ドルから40%安く輸入できる可能性がある。

場所企業内容
ブリティッシュコロンビア州ペトロナス(マレーシア)石油資源開発 LNG生産量の10%にあたる120万トンを引き取る
石油資源開発
コルドバ堆積盆地PWE(50%)三菱商事 持分のガスを34%出資しているシーマ・エナジー社などを通じて北米市場で販売2月にカナダ政府から輸出許可。
三菱商事(30%)
韓国ガス公社(5%)
中部電力(3.75%)
東京ガス(3.75%)
大阪ガス(3.75%)

米国

シェールガスの開発によって米国は近くガスの国内自給を達成する見通し。2017年には世界最大の産油国とされている。このことより、中東などからガスや石油を輸入する必要が減ると見込まれる。

北米におけるシュールガスの生産コストは2010年代末までに100万BTUあたり5~7ドルになると予想されている。天然ガスの国際価格については輸送コストや他の要素による違いが存在するが、2020年頃まで6~13ドル(100万BTU単位)のレンジに収れんする見通し。

アメリカのシェールガス生産量は増加しているが、現在は主に国内で使われている。本格的な輸出は2015年以降になる。アメリカ以外にもシェールガスが存在する地域は多いものの、本格的な生産は2020年以降になる見込み。2007年には石炭が米国の発電用燃料の半分を占めていたが、その比率は37%まで落ち込んでいる。一方で、天然ガスは2012年には30%まで比率を伸ばしている。

2020年頃まで供給
シェールガス生産コスト天然ガス国際価格米産輸出米国以外の生産
5~7ドル6ドル~13ドル2015年以降2020年以降

【ドル高要因】

シェールガスの開発は潜在的なドル売り要因となっている原油貿易の赤字縮小が見込まれることから、ドルが長期的な上昇トレンドに入るとの見方がある。2011年、米国の経常収支は4659億ドルの赤字で、貿易収支はガス・原油の赤字額が2279億ドルとなっており大きな割合を占める。シェールガスの開発で、米経常赤字のタイGDP比は2020年に2.4ポイント下がる見通しもあり、2012年の水準から計算すると経常赤字が約60%減ることが見込まれる。また、国際エネルギー機関(IEA)によると北米は2030年に石油の純輸出に転じると予想されており、石油取引の赤字が減少していくことが見込まれる。

日本

東日本大震災以降の原子力発電所停止により燃料費が増加している。2013年度は東日本大震災前の2010年度と比べて3.8兆円費用が増加すると試算されている。液化天然ガス(LNG)で1.6兆円、石油で2.4兆円分増加する。また、為替レートが1ドル100円前提とすると、平均1ドル80円台だった2012年度と比べると円安効果だけで7000億円増となる見通し。そこで割安な米国産シェールガスを調達し、燃料費調達コストの低減に動いている。

米国シェールガスをLNGにするための液化施設の利用量や液化費用、LNG運搬船の輸送量など日本に到着するまでの上乗せ料金は7ドル程度とされている。

企業輸入時期内容
 東京電力2017年後半 年間80万トン
 関西電力2017年後半 年間80万トン
 中部電力・大阪ガス- 年間220万トンずつのLNG委託加工契約
 東京ガス- テキサス州でシェールガス田権益を25%取得

【パナマ運河】

日本政府はパナマ運河の拡張工事に追加資金支援を検討。現在のパナマ運河は幅32メートルの船舶までしか通れず、40メートルを超える天然ガス(LNG)輸送船は運航できない。パナマ運河では2007年から拡張工事を開始。完成は2014年の計画だったが、工事費を巡る事業者と政府の対立などで2016年に遅れる見通し。

日本は2017年から米国から割安な「シェールガス」を輸入する計画。パナマ運河経由であれば北米から日本まで約20日だが、アフリカ南端の喜望峰経由だと約45日かかる。喜望峰経由のLNG輸入コストはパナマ運河経由に比べて60~70%高くなる。

日本政府は100億円規模での追加融資と引換に、パナマ政府に早期完成や通航料の抑制を求める。パナマ運河拡張の総事業費は52億ドル(約5200億円)。23億ドルを海外から調達しており、日本は8億ドルを融資している。

欧州・アジアでシェールガス開発が加速

米国やカナダに続き、欧州やアジアでシェールガスの開発が加速している。英国は優遇税制の導入などで開発を支援。インドネシアやオーストラリアでは探鉱が進む。中国では米国からシェールガスの輸入をすることを念頭に米国側に情報提供の要請や探鉱が進んでいる。

時期内容
 英国2013年 シェールガス採掘技術のフラッキングを解禁。優遇税制導入
 ポーランド2014年 米シェブロンや伊炭化水素公社などが探鉱を進める
 フランス- 水質汚染など環境への配慮からフラッキングを全面禁止
 インドネシア2020年 国営プルタミナが鉱区開発で当局と契約締結
 中国2015年 2015年に65億立方メートル、2020年に600億から1000億宇立方メートルの生産目標。開発コスト割高。インフラが未整備
 豪州2012年 地元大手サントスが商用生産を開始