アキュセラ・インク(4589)は、様々な網膜疾患に対する治療薬の開発に取り組んでいる。視覚サイクルとは、眼球の裏側にある網膜内において光量子が電気信号へと生物学的に変換され続けるために必要な仕組みのことで、変換された光は脳で映像として知覚される。明るい光に暴露されると視覚サイクルが活発になる、有害副産物が発生。この有害畜産物が蓄積すると視覚サイクルの機能に支障をきたし、網膜を損傷させる可能性がある。アキュセラ・インクはこの知覚サイクル活動を低下させることにより、網膜に蓄積する有害副産物を減少させ、網膜損傷を軽減する効果が期待されている治療技術「視覚サイクルモジュレーター(VCM)」の開発を行っている。 VCMは糖尿病性網膜症やスターガート病、網膜色素変性などの治療に役立つと期待されている。現在臨床又は臨床試験段階で、販売許可は取得していない。 なおアキュセラ・インクは大塚製薬とVCMリード化合物であるエミクススタトの開発・商業化に関する契約を締結。また、大塚製薬が創薬した緑内障治療のためのOPA-6566の共同開発・共同販売に関する契約を締結している。 {主要業績指数推移}
  売上高 税引前利益 純利益 株主資本 総資産
2012年 47億円 7億円 4億円 26億円 48億円
2011年 35億円 3億円 6億円 21億円 42億円
2010年 37億円 4億円 9億円 14億円 35億円
2009年 27億円 2億円 2億円 4億円 24億円
2008年 7億円 ▲7億円 ▲7億円 ▲4億円 16億円
(1米ドル=102.44円の換算率) {製品候補の臨床開発状況}
医薬品 臨床開発 知的財産権満了日 地理的権利
エミクススタト フェーズ2b/3 2029年11月 北米・EU・南米・アフリカ
OPA-6566 フェーズ1/2 2025年4月 米国
【エミクススタト】 AMD治療のために開発中のリードVCM化合物。AMDは患者の中心視力の低下を引き起こす網膜疾患で重篤なケースでは中心視力の喪失を招く。現在、ドライ型AMDの治療法として米国食品医薬品局(FDA)に承認されたものはなく、エミクススタトが最初の治療薬として商業化される可能性があるとしている。アキュセラ・インクは北米で大塚製薬と提携。EU、南米、アフリカで独占的開発・商業化の権利を保有している。 【OPA-6566】 大塚製薬と共同開発中の高眼圧症及び緑内障治療のための点眼液。 {眼疾患の市場規模と患者数見通し} 【眼科医薬品市場規模】 visiongain社によると、世界の眼科医薬品市場規模は2011年の175億ドルから2023年には347億ドルに、米国市場は2011年の67億ドルから2023年には127億ドルへの成長が見込まれている。
2011年 2023年
世界 175億ドル 347億ドル
米国 67億ドル 127億ドル
【2011年における世界の処方医薬品市場】
眼疾患 金額 シェア
緑内障 52億ドル 30%
網膜症 39億ドル 22%
ドライアイ 22億ドル 13%
その他 61億ドル 35%
【ドライ型AMD】 最も一般的なAMD種類で罹患数の90%を占める。MarketScope社によると、世界のAMD罹患者数は2012年に1億2700万人であり、2017年には1億4600万人に、米国では2012年に1100万人、2017年には1300万人になると見込まれている。
2012年 2017年
世界 1億2700万人 1億4600万人
米国 1100万人 1300万人
【緑内障】 Frost&Sullivan社によると、2010年に米国で成人450万人が緑内障の前駆症状である高眼圧症を患っており、2015年までに490万人に増加すると見込まれている。また、2010年に米国で成人の280万人が開放隅角緑内障であり2015年までに300万人に増加すると見込まれている。
2010年 2015年
高眼圧症 450万人 490万人
開放隅角緑内障 280万人 300万人