電子部品業界では圧倒的な勝ち組。スマートフォンでは高級機種から新興国向けの廉価版まで幅広く対応でき、アップルに変調していないことが村田製作所の強み。最近は中国で躍進著しい「シャオミ」へもSAWフィルターを供給している。中国では大小合わせて300社程度のメーカーがあり、日本製の高機能電子部品で差別化を図らないと生き残りは厳しい。 また、電子部品は車載用でも用途が広がる。2014年度はカーエレクトロニクスでの高い伸びを見込んで有り、数量ベースでの伸びに自信を示している。自動運転車でも技術が進歩すればするほど電子部品需要が増加する見通しで、有望セクター。


積層セラミックコンデンサ

小型化・大容量化のために電極を印刷したセラミックシートを何層にも重ねたもの。電気・電波を扱う機器には必ず使われ、スマートフォンでは1台あたり約700個、ノートパソコンでは約800個、自動車では約1000個搭載されているという。村田製作所の積層セラミックコンデンサの世界シェアは約35%。

【0201サイズ】
世界最小サイズ、0201サイズ(0.25x0.125mm)積層セラミックコンデンサの量産を2014年4月より開始。月産1000万個で開始し、2014年10月以降に3000万個に拡大する。従来の0402サイズと比べて実装面積が半分で、約2倍の部品実装が可能。

項目 2014年
4月 10月
0201 月産1000万個 月産3000万個

【生産棟新設】
生産子会社の福井村田製作所で積層セラミックコンデンサの生産棟を新設。投資額は100億円。2014年12月に着工し、2015年9月に完成予定。

投資額 対象 完成
100億円 積層セラミックコンデンサ生産棟 2015年9月

 

 


買収

村田製作所はM&Aで自社の弱い部分の補完に成功している。2014年3月にテレビやゲーム機、スマートフォンなどに用いる磁性体材料や巻き線テクノロジーを駆使したコイルを扱う東光を子会社化。8月には携帯電話やスマートフォンなど高速通信機能を担う部品RFスイッチなどを手がける米Peregirine社を490億円で買収を決めた。

投資額 対象 事業 2013年純利益
230億円 東光15.8%→66.2% テレビやスマホなどのコイル 26億円
490億円 米peregirine社 スマホなどのRFスイッチ ▲4億円


経営戦略

世界のエレクトロニクス市場は、電子機器の高機能かやスマートフォン、自動車市場の伸びにより数量が増加。次の重点市場となりうる環境・エネルギー、ヘルスケア分野にも電子部品需要が着実に広がる見通し。

村田製作所は、マーケティングや販売体制の強化、生産能力の拡充を進め、小型・薄型、高機能、高品質製品を同業他社に先駆けて投入し、需要を確実に取り込む。また、中国、タイ、マレーシア、フィリピンといった海外工場において生産拡大を図り、コスト削減や為替変動リスクの軽減を実現する。


業績推移

  売上高 税引前利益 純利益 純資産 総資産 自己資本比率
2015年(予) 1兆1600億円 2520億円 1830億円 - - -
2014年 1兆435億円 2384億円 1677億円 1兆1230億円 1兆4313億円 78.5%
2013年 8467億円 1323億円 931億円 9557億円 1兆2436億円 76.8%
2012年 6810億円 595億円 423億円 8609億円 1兆871億円 79.2%
2011年 5846億円 509億円 308億円 8085億円 1兆8億円 80.8%
2010年 6179億円 820億円 534億円 8211億円 9885億円 83.1%

【セグメント別】

セグメント 項目 2011年 2012年 2013年 2014年
コンポーネント 売上高 4091億円 4667億円 5617億円 7217億円
営業利益 631億円 778億円 1260億円 2059億円
営業利益率 15.4% 16.6% 22.4% 28.5%
モジュール 売上高 1837億円 2304億円 3144億円 3609億円
営業利益 121億円 116億円 352億円 426億円
営業利益率 6.6% 5% 11.2% 11.8%
その他 売上高 368億円 340億円 304億円 468億円
営業利益 42億円 39億円 31億円 47億円
営業利益率 11.5% 11.6% 10.2% 10.1%

※コンポーネント:コンデンサ、圧電製品など
※モジュール:通信モジュール、電源など
※その他:機械製作、福利厚生、人材派遣など