政府は年末にかけて2015年度予算案の編成を行う。最終的には100兆円を下回る規模に抑えたい考え。国債発行額は2014年度予算の41.3兆円を上回らないようにし、社会保障費は高齢化による自然増加分の0.8兆円に抑える。また、6月にまとめた成長戦略を進めるための特別枠を設け、約4兆円分の事業を募る方針。


2015年度予算案

 政府は年末にかけて2015年度予算案の編成を行う。最終的に100兆円を下回る規模に抑えたい考え。国債発行額は2014年度予算の41.3兆円を上回らないようにする。経費の40%を占める社会保障費は高齢化による自然増加分の0.8兆円に抑える。2兆円規模の内部留保を抱える社会福祉法人向け支出効率化などを探る。 また、6月にまとめた成長戦略を進めるための特別枠を設け、約4兆円分の事業を募る。各省庁に公共事業や研究開発支援など使途の自由度が高い裁量的経費の10%削減を要求。削減額の30%を上限に特別枠に予算を要望できるようにする。


2014年度予算

 政府は、2014年3月20日、2014年度予算を可決し成立した。一般会計総額は95兆8823億円、高齢化に伴う社会保障費は30.5兆円、道路や橋などを補修する公共事業費は6兆円、国債費は23.3兆円となる。 一方、歳入面では税収は2014年春の消費増税で4兆5350億円加わるほか、法人税収が10兆円に伸びることから、50兆10億円を見込む。新規国債発行額を1兆6000億円減らし、41兆2500億円とする。 税収増により、政策経費を税収でどの程度賄えているかを示す国の基礎的財政収支は18兆円の赤字と赤字幅が5兆2000億円少なくなる。2013年度と比べた赤字幅を4兆円程度縮める目標を示した中期財政計画を1兆円程度上回る。

  2013年度 2014年度
一般会計総額 92.6兆円 95.9兆円
社会保障費 29.1兆円 30.5兆円
公共事業費 5.2兆円 6兆円
国債費 22.2兆円 23.3兆円
地方交付税 16.3兆円 16.1兆円
その他 19.6兆円 20兆円
歳入 2013年度 2014年度
税収 43.1兆円 50兆円
新規国債発行額 42.9兆円 41.3兆円
税外収入 4兆円 4.6兆円

【社会保障費】
年金や医療費などにかかる社会保障費は30.5兆円。医療費にかかる費用は高齢化により国費だけでも約4000億円規模で増加。消費増税による税収を財源に、子育て支援や難病対策などに3000億円を充てる。 一方、社会保障費の膨張に歯止めをかけるため、安い後発薬への置き換えや国が一定額を負担する医療サービスの診療報酬改定などを進めることが課題となる。

【公共事業】
道路や橋などを補修する公共事業費は6兆円。整備新幹線関連予算の増額や防災関連予算を増やす。2020年東京五輪に向けた首都圏3環状道路の工事にも予算を配分する。

【日本の成長力底上げ策】
医療の最先端研究開発の司令塔となる『日本版NIH」の設立費用や、世界で勝ち残る大学への支援、新型ロケット事業などに1兆9000億円を計上する。

【国債発行額】
国債の総発行額は181兆5388億円で、新規発行額を41.3兆円、財投債が16兆円、借換債が122兆円、復興債が2兆円となる。長期金利が0.6%台と低水準であることから、長期債の30年債を増やし、借換債を発行する回数を減らし、将来の利払い費を抑制する。

国債 金額
国債発行総額 181兆5388億円
新規国債発行 41兆2500億円
財投債 16兆円
借換債 122兆1495億円
復興債 2兆1393億円


税収

 2013年度の国の一般会計税収は46兆9500億円となり、政府見積もりを1兆6000億円上回った。税収の約30%を占める所得税収は15.5兆円。株式の売却益にかかる税率が2014年1月から上がったため、税率が上がる前の2013年中に売却して利益を確定する動きが広まり増加した。法人税は10.5兆円。景気回復や円安の影響で企業業績が改善した。

  2012年 2013年
税収 43.9兆円 46.9兆円

【財政計画】
財務省は、2014年1月30日、2014年度予算をもとに2020年までの国の一般会計の歳出入を集計した「後年度影響試算」を公表した。経済成長3%で歳出抑制した場合、税収は2014年度の50兆円から2016年度に60.4兆円に、歳出は2014年度の95.9兆円から2016年度に102兆円に増える。新規国債発行は2014年度の41.3兆円から2016年度に37.2兆円に減らせるとした。

  2014年度 2016年度
税収 50兆円 60.4兆円
歳出 95.9兆円 102兆円
新規国債発行 41.3兆円 37.2兆円