フランス国立医療研究所は、2015年2月24日、富士フイルムホールディングスのインフルエンザ治療薬アビガン(ファビピラビル)のエボラ出血熱への臨床試験の中間解析結果を発表した。エボラウイルス量が中程度から高い患者では死亡率が30%から15%と半減した一方、エボラウイルス量が非常に多い患者では効果が見られなかった。

エボラ出血熱に対するアビガンの臨床試験は、フランス政府とギニア政府により2014年11月より実施されている。

 

アビガン(ファビピラビル)

アビガン(ファビピラビル)は、日本ではインフルエンザ治療薬として承認。米国でも治験の最終段階にある。菅義偉官房長官は、2014年8月25日、世界保健機関(WHO)などから要請があれば、エボラ出血熱への効果が期待される「アビガン」を提供する用意があると表明。富士フイルムは、エボラ出血熱患者2万人以上に投与できるだけの在庫を保有。2014年11月中旬に追加生産を実施し、ギニアでの臨床試験で効果が確認できた場合に需要増加が見込まれる出荷要請に備える。

 

アビガンは2014年9月26日にフランス政府機関であるANSMの依頼でエボラ出血熱に感染したフランス人女性看護師に他の未承認薬と併用して投与。2014年10月6日に「治癒した」と発表された。2014年10月4日にはドイツのフランクフルト大学病院に搬送されたウガンダ人のエボラ出血熱患者に投与された。

米国ではアビガンがエボラ出血熱の治癒に使えるかどうか、米FDA(米食品医薬品局)と協議入り。サルに投与して結果を確認する。
 

項目 内容
アビガン 日本でインフルエンザ治療薬として承認
エボラ出血熱患者2万人分、原薬として30万人分の在庫を保有
米FDAとエボラ出血熱に有効かを協議
米国で治験の最終段階

 

【アビガンの推移】
エボラ出血熱に対するアビガンの臨床試験は、フランス政府とギニア政府により2014年11月より実施。また、新たにエボラ出血熱の治療向けに他の未承認薬と併用した新たな臨床試験が開始される。

2014年 アビガンの推移
8月25日 菅官房長官が要請があればアビガンを提供する用意があると表明
9月26日 フランス人女性看護師に他の未承認薬を併用して投与
10月4日 ドイツでウガンダ人の患者に投与
10月6日 フランス人女性看護師が治癒
10月9日 スペイン・ノルウェーで患者に投与
10月20日 スペインの女性患者がウイルス検査で陰性に
11月 ギニアで臨床試験を実施へ
11月中旬 富士フイルムがアビガンを追加生産
2015年  
2月24日 「ウイルス量が少ない場合は死亡率半減。多い場合は効果が見られない」との臨床試験の中間解析結果
6月12日 エボラウイルスが残存する症例への治験計画案提出

【エボラウイルスが残存する症例への治験計画】
富士フイルムは、エボラ出血熱のウイルスが体内に残ってしまう症例について、インフルエンザ治療薬「アビガン」を使った臨床試験の計画案を米食品医薬品局(FDA)に提出したもよう。臨床試験では、アビガンの投与によって、ウイルスが無くなるまでの期間が短縮できるかを評価するとみられる。

米医師団は、2015年5月、エボラ出血熱を治療し退院した患者から、退院後にウイルスが検出されたことを発表した。血液中から検出されなくなってから1ヶ月以上経過してからウイルスが見つかったという。

 

富士フイルムホールディングスの業績推移

  売上高 税引前利益 純利益 純資産 総資産 自己資本比率
2015年(予) 2兆5800億円 1900億円 1200億円 - - -
2014年 2兆4926億円 1971億円 1185億円 2兆4674億円 3兆4454億円 62.8%
2013年 2兆4399億円 1571億円 809億円 2兆1982億円 3兆2269億円 62.6%
2012年 2兆2146億円 1191億円 542億円 2兆247億円 3兆595億円 61.1%
2011年 2兆1952億円 891億円 437億円 1兆8564億円 2兆7396億円 62.8%
2010年 2兆2170億円 1171億円 638億円 1兆8508億円 27088億円 63.6%